2024年3月から7月の間,日本学術振興会の若手研究者海外挑戦プログラムの支援を受けて,ドイツ,ケルンにあるドイツ航空宇宙センター(DLR)に滞在していました.ここでは,滞在期間中のことをざっくりと書き残そうと思います.
DLRではこれまで継続的に行なってきた通信ブラックアウトのアーク風洞による再現とガス噴射による低減効果の実証実験を行っていました.DLRは世界有数の出力を誇るアーク風洞L2Kを備えていて,実験のスケールアップと様々な観測による現象理解を目的としています.実験写真が載せられないので,詳細は論文化した際にまたブログで紹介します.ここではドイツでの私生活の部分を中心に記そうと思います.
DLR内部の様子. Hypersonic/Supersonic Department にお邪魔しました. |
ドイツの研究滞在ビザの取得
日本のパスポートは最強なので普段の海外旅行では意識しませんが,海外での長期滞在にはビザを取得する必要があります.今回のケースではドイツでの滞在期間が90日以上ということで,研究ビザを取得することになりました.ドイツに入国後にも申請できるらしいのですが,日本にいて日本語でできるならそっちの方がオススメです.とはいえ,いろんな書類を用意して東京にあるドイツ大使館まで赴く必要があります(書類提出のほかに指紋のスキャンを取られました).意外と手間なので滞在期間が決まったらすぐに動き出すべきですね.
ドイツ大使館の入り口 中に入るにはパスポートが必要だったり周囲は大使館や教会がたくさんあったり,外国の雰囲気. |
日本からケルンへ
今回の滞在先であるDLRは,1969年に設立したドイツの航空宇宙開発を行う政府機関です.本拠地はドイツ西部の街ケルンにあり,私はそこに4ヶ月間滞在することになりました.そこで,本ブログでも度々触れている,通信ブラックアウト低減に関する共同研究を行いました.
ケルンに到着したのは日本を出てから丸一日たったお昼ころでした.DLRでお世話になるボスや研究者のみなさんに挨拶を済ませ,その日はすぐに宿へ向かいました.この後,事故渋滞に巻き込まれ,到着したのは日付が変わってからというのはまた別のお話.
DLRでの研究滞在
DLRでの1日は朝8時半に出勤するところから始まります.9時くらいに同年代のPhD学生と一緒にコーヒーを飲み,研究活動を始めます.やるべきことは実験準備や数値解析,書類仕事,日本に置いてきたはずの諸々など,普段の研究室生活と同じような感じです.
11時半になったら昼食をみんなで社員食堂に食べに行きます.ドイツ語メニューがよく分からなかったので,いつも勘で注文していました.ドイツ食だけでなく,パスタやご飯ものなど,いろんな国の料理が日替わりで楽しめました.どんなに寒くても外の席で食べる派閥に仲間入りしてお昼を一緒に食べてました.残念ながら研究関係の写真は載せられないので,食堂のお昼メニューを紹介します.
昼食後はコーヒー休憩を挟みつつ,だいたい18時ころまで作業し,帰宅します.帰り道のスーパーで買い物をして,夜は専ら自炊をしていました.フライパンでパンを焼く時は意外とすぐに黒焦げになって煙があがって火災報知器が鳴るので注意しましょう(1敗).いくら安いからといってブルーベリーを1日に500g食べると具合が悪くなります(1敗).Asian Tasteと書いた商品はたいてい不思議な味がします,気をつけましょう(n敗).
休日の過ごし方
休日はドイツのいろんなところに観光に行ってきました.ドイツの鉄道はコロナ禍をきっかけに鉄道乗り放題パス(49ユーロチケット)が旅行者でも簡単に取得できるので,あちこち国内移動するには便利です.ドイツは畑や牧草地体も多く,気候も北海道と似ていてとても過ごしやすく感じました.旅行写真をいくつかお裾分けします.
ドイツ語で何と書いているかは読めませんが,何が書いてあるかは分かる不思議.
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ボンの気球フェスティバル. のはずが,強風のためクレーンに吊るされて上下させられる可哀想な気球. |
隣国ルクセンブルクにあるルクセンブルク大学(盧大?)に研究室訪問. 遠く離れた土地にいる近い分野の研究者とのお話は貴重で有意義な経験でした. |
おわりに
今回のように大学の外に単身で飛び出してみる経験は研究だけでなく人生経験としても貴重だったと振り返ってしみじみ思います.実験や議論も大事ですが,同じような年齢の研究者にたくさん出会えたことが何よりの収穫でした.出発前は不安も大きかったですが,なんとかなるもんですね.迷わず行けよ,行けばわかるさとはよく言ったものです.
いろんな幸運と偶然が繋いでくれたご縁を大事に,研究成果として還元できるよう,まずは論文執筆に向けて頑張りたいと思います.それでは論文解説回へつづく...といいな.
T. Miyashita
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