2021/10/29

ISAS 遷音速風洞実験

遷音速風洞実験

 2021/10/18-22JAXA相模原キャンパスにある遷音速風洞を使って実験を行いました.今回は柔軟エアロシェル模型を用いた流体構造連成解析(Fluid-Structure Interaction Analysis)に関する実験を行ってきました.今回の結果を用いて連成解析モデルの確立を行うことが目的です.


柔軟エアロシェル模型

 実験に先駆けて10/4-8に模型の作成をしました.材料は高強度・難燃性を有するZYLON繊維を織り込んだ布です.工業用ミシンを用いて模型を作り上げていきます.結構手のかかる作業が多いので,愛着がわいてきて自分の子供のようにかわいく思えてきます.これからマッハ0.3以上の気流に投下すると考えると心が痛みます.
さて,この子たちの行方は...




試験結果

 今回の実験では,柔軟構造体特有の挙動として模型全体の首振り運動に着目していきます.こちらが模型を後方から高速カメラで撮影した実験中の動画です.左方から流入してくる流体から力を受け変形・振動している様子が見て取れます.今後はこの変形挙動に着目して流体構造連成解析モデルの確立を行う予定です.模型の変形の周波数と変形による空力係数への影響なども見ていきます.



 
いざ試練へ

 上の動画はマッハ0.3の時の様子なのですが,マッハ数をあげた耐久テストのようなことも行いました.マッハ0.6程度の気流中にさらすと模型が破損してしまいました.次男は圧力計測管に串刺しになってしまい,三男や五男も深く傷ついてしまいました.このような悲惨な事件や事故の起こらない平和な世の中になることが私の願いです.




J. Tobari, 2021/10/29

2021/10/11

ISAS アーク風洞実験

アーク風洞実験

    2021/9/13-172021/10/4-8JAXA相模原キャンパスにある1MWアーク風洞を使って実験をしました.当研究室では年に1回,こちらで風洞試験をしています.今回の実験は通信ブラックアウトの低減化に関するものです.アーク風洞中ではプラズマによって通信が途絶えてしまうのですが,通信機近くで冷却気体を噴射することでプラズマ中に電磁波の通り道を作れればブラックアウトは回避できると考えられます.今回の実験はこの低減化手法を実証することが目的です.


アーク風洞内での冷却気体吹き出し

    アーク風洞の中でガスを吹き出すという実験は近年例がなく,当研究室でも経験のない実験でした.ですので実際にやってみるまでうまくいくか不安でした.実験装置自体はそれほど複雑ではないのですが,年に1回しかできない実験なのでプレッシャーもあったのだと思います.「アーク風洞を壊さなければ実験成功」と思いながら当日に臨んだのを覚えています.

    さて実験の結果ですが,冷却気体吹き出しがうまくいき,通信状況の改善も見られ,満足のいく成果が得られました.アーク風洞も壊さなかったので成功です.

    下の写真はアーク気流に模型を投入したときの様子です.1枚目は吹き出しなし,2枚目は吹き出しありです.写真中央から少し左の位置に小さな穴があり,ここから冷却気体が出てきます.2枚目の写真ではこの穴の周りにぼんやりと光る領域が確認できます.衝撃波によって高温になる部分が光って見えるので,この写真から冷却気体の吹き出しがうまく出来ていることが分かります.

    今回の実験を終えての感想ですが,まずはホッとしています.今年の3月頃からの準備が今回得られた面白い結果につながったので嬉しかったです.プロジェクトの立案から実験の実施まで色々な方にサポートしていただいた結果だと思います.貴重な体験を通して,多くのことを学べました.今回の経験を今後の研究に活かしたいと思います.




その他

滞在先で食べた「インドカレー」です.美味しかったです.年々ナンが巨大化しているような気がします.

T. Miyashita, 2021/10/11

博士課程の過程(2024年度 STL研究室 卒業生)

 博士課程の卒業にあたり,「博士課程に進学するか否か迷っている方」「博士課程はどうだった?」「卒業後の進路は?」という点について,過去の自分自身が知りたそうなことを簡単に記載しておきます. 1. 博士課程に進学するか否か迷っている方へ  「人には人の博士課程があるので,様々な人に...