アーク風洞実験
2021/9/13-17と2021/10/4-8にJAXA相模原キャンパスにある1MWアーク風洞を使って実験をしました.当研究室では年に1回,こちらで風洞試験をしています.今回の実験は通信ブラックアウトの低減化に関するものです.アーク風洞中ではプラズマによって通信が途絶えてしまうのですが,通信機近くで冷却気体を噴射することでプラズマ中に電磁波の通り道を作れればブラックアウトは回避できると考えられます.今回の実験はこの低減化手法を実証することが目的です.
アーク風洞内での冷却気体吹き出し
アーク風洞の中でガスを吹き出すという実験は近年例がなく,当研究室でも経験のない実験でした.ですので実際にやってみるまでうまくいくか不安でした.実験装置自体はそれほど複雑ではないのですが,年に1回しかできない実験なのでプレッシャーもあったのだと思います.「アーク風洞を壊さなければ実験成功」と思いながら当日に臨んだのを覚えています.
さて実験の結果ですが,冷却気体吹き出しがうまくいき,通信状況の改善も見られ,満足のいく成果が得られました.アーク風洞も壊さなかったので成功です.
下の写真はアーク気流に模型を投入したときの様子です.1枚目は吹き出しなし,2枚目は吹き出しありです.写真中央から少し左の位置に小さな穴があり,ここから冷却気体が出てきます.2枚目の写真ではこの穴の周りにぼんやりと光る領域が確認できます.衝撃波によって高温になる部分が光って見えるので,この写真から冷却気体の吹き出しがうまく出来ていることが分かります.
今回の実験を終えての感想ですが,まずはホッとしています.今年の3月頃からの準備が今回得られた面白い結果につながったので嬉しかったです.プロジェクトの立案から実験の実施まで色々な方にサポートしていただいた結果だと思います.貴重な体験を通して,多くのことを学べました.今回の経験を今後の研究に活かしたいと思います.
滞在先で食べた「インドカレー」です.美味しかったです.年々ナンが巨大化しているような気がします.
T. Miyashita, 2021/10/11
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