REERA-5
例年、ゴム気球を用いた薄殻型カプセルの自由飛行試験RERA (Rubber balloon experiment for reentry capsule with thin-type aeroshell) を行っています。
今回の試験では、「カプセルの振動過渡期のデータ取得」を目指して、カプセルの重心を後方に設置し、より不安定化しやすい条件下で試験を行いました。今年度は2025/6/12にRERA-5を高度25kmから投下しました。
JAXA/ISASホームページでの紹介:https://www.isas.jaxa.jp/topics/004027.html
気球実験
カプセルを自由飛行させ、そのときの姿勢データを取得する試験になりますが、カプセルは人にあたらないように海に落下させる必要があります。そのため、陸から海への風が作られる早朝(5,6時)に実験が行われます。
実験の流れとしては、下記になります。
- 地上で動作確認
- 気球で高度25kmへ
- 切り離して、自由飛行
- 着水
2以降は問題があってもほとんど何も対応できません(早急に落下させて機器が正常な内になるべくデータを得るくらい)。
そのため、2〜4にかかる2時間くらいはずっと心配しながら見守っています。こればかりは慣れません。
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RERA-5カプセル(重心位置を後方に設置するため、例年より後ろの筒が長いんです…) |
今回の試験では、カプセルは目論見通り回転し二点良いデータが取れました。
- 切り離しと同時に回転するのではなく、初めの1分くらいは振動しており、ある瞬間から振動の発散に向かう過渡期データを取得できた。
- 一度発散した後は着水まで回転が維持されていたが、その回転周期は変化していた。
詳細は学会発表等になりますが、個人的には新たな研究アイデアに繋がる良いデータが取れたと思っています。とりあえずは2025年度の宇宙科学連合で後輩君が発表してくれる予定です。
大規模な実験は準備が大変で責任も降ってきますが、その分成功したあとの快感もひとしおです。チャンスがあればぜひ!
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送信されてきた姿勢データを確認するためのQuick Look画面におけるカプセル姿勢の一例(完全に回転してますね) |
その他
一日の作業を終えた後は当然ながら自由です。
花火をしても良いし、公園でブランコを漕いでも大丈夫です。
四つ葉を見つけてもいいですし、野生の鹿と出会っても大丈夫です。
……たぶん。
H. Takasawa (ISAS/JAXA), 2025/06/13