2021/12/23

はやぶさ型カプセルの自由振動シミュレーション

オープンCAEシンポジウム2021
オープンCAEシンポジウムに初めて参加しました、Opensourceに関わる様々な発表を聴講できて興味深かったです。やはりOpenFOAMが強い印象があります。OpenFOAMの圧縮性流体ソルバーHiSAや熱化学非平衡流ソルバーhy2Foamなど教えてもらいました、これらも大変関心ある内容ですので、いずれ自分で動作確認してみたいものです(やるとは言ってない)

はやぶさ型カプセルの動的な姿勢不安定問題
わたしの発表ではSU2を用いたはやぶさ型カプセルの流体と剛体運動連成による自由振動シミュレーションについてお話しました。はやぶさ型形状のカプセルは遷音速領域において動的な姿勢不安定性(姿勢振動が減衰しないこと)を有することが確認されており、いまでも問題となっています。数値シミュレーションは有用なツールですので、それによって不安定性を再現、メカニズム解明や低減化のアイデアを提案していきたいという背景があります。

SU2コードについて
今回用いたSU2と呼ばれるオープンソースソフトウェアは圧縮性流体向きのもので、遷音速・超音速流れ解析において現在広く用いられる標準的なスキームが豊富に実装されています。移動格子ルーチンが導入されており、今回の姿勢不安定問題等に適用できないかと思い使ってみました。割と便利なSU2ですが、なぜかLES/RANSのハイブリッドモデルは使えるのにLES単体がなかったり、移動格子利用時にAUSMファミリーが使えないなど微妙な抜けがあったのですが、そこは共著の高澤君に実装してもらいました。わたしはコードを使っただけです。

自由振動シミュレーション
遷音速領域におけるはやぶさ型カプセル近傍のマッハ数分布動画を示してます。計算格子縛りをしていて、100万要素程度のすべて四面体要素で計算格子を作成しています。シンポジウム発表時のとはちょっと使用スキームが異なっています(SLAUをJSTに変更したなど)。格子がかなり粗く解像度が悪いものと思いますが、意外に不安定性を捉えらている印象があります。ただ、これから真面目にやっていこうと思うとどうなるかは不明です。
動画を見ると、カプセル前方には衝撃波、肩部ではく離、背後に膨張領域と自由せん断流れ、再圧縮衝撃波、さらに大きな循環領域など多様な流れ場がカプセル近傍には現れることがわかります。このように様々な現象が現れるのも遷音速領域の面白いところと思います。


Y. Takahashi, 2021/12/23


0 件のコメント:

コメントを投稿

ISAS アーク風洞実験(令和5年)

  アーク風洞実験      今年もこの時期がやってきました.当研究室ではJAXAが保有するアーク風洞を利用した実験を年に1回実施しています.アーク風洞は高温のプラズマ気流を生成することができるので,宇宙機が大気圏に突入する際の厳しい加熱環境を再現することができます.このプラズマ...