投稿論文Dynamic instability modeling on phase plane for thin aeroshell capsule with pitching motion at transonic speedがMechanical Engineering Journalにアクセプトされました.本論文では, Ma1.3の遷音速流れ場における1軸自由振動時の薄殻エアロシェル型カプセルの挙動について評価しています.また,薄殻エアロシェル型カプセルにおける運動挙動に対し新たなモデリング手法を提案しています.
Abstract
将来的により遠方の土星圏を対象としたサンプルリターンが計画されており,そのカプセルとして薄殻エアロシェル型カプセルが提案されています.本カプセルの動的な挙動に着目するためにJAXA/ISASの遷音速風洞を用いて1軸自由振動試験が実施されました.また,慣性モーメントがどのような影響を及ぼすかについて評価しました.
Ma1.3の遷音速域においては,一定の振幅で振動を続けるリミットサイクル現象が確認されました.また,慣性モーメントによりリミットサイクル時の振幅が変化しました.この慣性モーメントの影響を予測するために,振動履歴をモデリングしていきます.ここでは横軸迎角,縦軸角速度の相平面を描き,各加速度履歴を色分けしプロットします.
図2 相平面プロット結果の一例 [1]
履歴としては円を描くように振動しますが,ここでは縦にプロットが並ぶ加速度履歴を再現するようにモデリングしました.これにより振動の成長期も含むモデリングが可能となります.この新たなモデルはある一つの結果から別の慣性モーメントの結果を定性的に予測することができました.また,相平面履歴からはやぶさ型カプセルと異なる運動メカニズムである可能性が示唆されました.
図3 新たなモデルを用いた予測結果 [1]
新たなモデリング手法に至った経緯
1軸の回転運動方程式は,二階微分方程式となります.これら方程式の係数が定数ではなく変数となります.ここで,そもそも二階微分方程式は現状どこまで一般化されているのか,どのような評価手法により二階微分方程式の特徴が考察されているかなど,物理よりも数学の分野に足を踏み入れたおかげで新しいモデリング手法を考えることができました.実際に実験結果と予測結果が定性的に一致したときは脳内麻薬がすごかったです.ありがとうございます.
本論文のURLは下記の通りです.オープンアクセスです.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mej/advpub/0/advpub_24-00053/_article/-char/en
[1] Takasawa, H.,
Fujii, T., Hirata, K., et al., Dynamic instability modeling on phase plane for
thin aeroshell capsule with pitching motion at transonic speed, Mechanical
Engineering Journal, Article ID 24-00053, Advance online publication May 31,
2024, Online ISSN 2187-9745.
H. Takasawa
2024/06/01
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